鰻の蒲焼には欠かせないピリリとした薬味です【山椒】
「山椒」と言えば、鰻の蒲焼に添えられている粉山椒や山椒の佃煮を思い浮かべられる方が多いのではないでしょうか?
粉山椒は、山椒の実が熟して割れたものの皮の部分を粉にしたもので、佃煮は実や花を醤油で煮たものです。
山椒はその他にも若芽を料理の彩りとして使ったり、若い枝の樹皮を漬け込んだりして食用とします。
懐石料理などで使われる「木の芽」と呼ばれているものは、この山椒の若芽のことです。また、山椒の木はとても硬いためすりこぎの材料にも使われることでもよく知られていますね。
山椒を薬味として使う時には、粉山椒を使うことが多いです。薬味のチカラ
その他、七味唐辛子の材料として使うこともあるようです。若芽(木の芽)は薬味として使われるよりも香りと彩りのために添えられることが多いかもしれません。

山椒ってどんなもの?

山椒(サンショウ)は、ミカン科の落葉樹です。
山椒の生態として特徴的なのが、雌雄異株であるということです。
雄の木と雌の木が揃っていないと、実をつけることはありません。
「花山椒」として食用にされるのは雄花で、雌花についた実は成熟前のものは「青山椒(実山椒)」、成熟後の実の皮は粉末にして「粉山椒」として食用にされます。
また、若い芽や葉は、「木の芽」として刺身のツマや料理に彩りを添えるために使われます。
木の芽を使う時は、手のひらにのせてパンパンと2〜3度叩いてから使うと香りが立ちます。
木の芽の香りは時間が経つと飛んでしまうので、食卓に出す直前に添えるのがおすすめです。

《花椒(ホアジャオ)》
山椒の原料であるサンショウの仲間である「カホクザンショウ」の実の皮を使って作られるのが「花椒」です。花椒は、中華料理(特に四川料理)で使われる仕上げ用の調味料で、独特の辛味を料理にプラスする目的で用いられます。

山椒の旬

山椒の旬は、その部位によって少しずつ違っています。
若芽である木の芽や花(花山椒)は4〜5月が旬です。
その後実をつけて、未成熟の状態で食べられる青山椒(実山椒)が6月頃に旬を迎えます。
実が成熟して皮が割れるぐらいになると、その皮を原料にして粉山椒が作られ、それが「新山椒」として出始めます。

山椒の産地

日本国内で山椒の生産量が多いのは、和歌山県、岐阜県、奈良県です。中でも和歌山県の山椒の生産が多く、日本全国の山椒生産量の半分以上は和歌山県での生産です。
和歌山と言うとみかんの栽培が有名ですが、山椒の栽培も隠れた果実生産日本一と言ってもいいいでしょう(山椒はミカン科の木なので、気候もちょうどいいのかもしれませんね)。

《和歌山県有田川町清水地区(旧・和歌山県清水町)》
山椒の産地として最も生産量の多いのが和歌山県です。
その中でも最も山椒の生産量が多いのは、和歌山県の中央部にある旧・清水町です(清水町は2006年1月に隣接した吉備町・金屋町と合併して、有田川町になりました)。
山椒の生産量の多い和歌山県の中でも旧・清水町の山椒の生産は飛び抜けて多く、和歌山県全体の生産量の半分以上を占めています。清水町で山椒の生産が本格的に始まったのは、1968(昭和43)年からのことです。清水町の特産として山椒を売り出そうという取り組みを続けて、今では生・乾燥の山椒の出荷に加えて、佃煮などの加工品の出荷もされています。

山椒のチカラ(効能)

山椒は、葉や実に独特の香りがありますが、これは「サンショール」という香り成分です。
山椒の香りには、食欲を増進し、食材の臭みを抑える効果があります。
また、山椒には薬効もあり、健胃剤や虫下しの薬としても昔から民間療法の薬としても用いられてきましたし、漢方薬の原料として使われてきたという歴史ある薬味なのです。

山椒の使われる代表的な料理

鰻の蒲焼、木の芽和え、佃煮、懐石料理

山椒の加工品

粉山椒、七味唐辛子、ちりめん山椒、山椒塩、佃煮

山椒を薬味にするとピッタリ!の料理

*お吸い物・・・木の芽を最後にのせて。
*酢の物・・・彩りに木の芽をのせて。
*ちらし寿司・・・木の芽を飾りにのせて。
*田楽・・・焼きあがった田楽の上に木の芽をのせて。
*鰻の蒲焼・・・粉山椒を鰻の上にふりかけて。

薬味レシピ 〜山椒〜

ちりめん山椒のレシピ

ちりめん山椒は、山椒を使った料理の中でも定番です。多めに作っておくと、ご飯のお供にピッタリです。
実山椒が手に入らない時は、市販の実山椒の佃煮にちりめんじゃこを混ぜるだけで手軽にちりめん山椒を作ることも可能です。

【ちりめん山椒の材料】
2人分
 【ちりめん山椒の作り方】
キュウリ・・・1本(約100g)
粉からし・・・大さじ1
塩・・・小さじ1
砂糖・・・大さじ1
  1.ちりめんじゃこを熱湯に入れてすぐザルに上げて、水気を切る。

2.鍋に水、醤油、酒、みりん、実山椒を入れて、中火にかけ、ヘラで時々かき混ぜながら、実山椒の色が少し茶色になるまで煮詰める。

3.2の汁気がなくなってきたら、火を止めて1のちりめんじゃこを加えて、よく混ぜる。

4.3をもう一度弱火にかけ、焦げないように混ぜながら水分を飛ばして、出来上がり。

薬味豆知識 〜山椒〜

「山椒は小粒でもぴりりと辛い」ということわざがあります。 山椒はとても小さな粒なのに食べるとその小さな粒に似合わずピリリと辛いということから転じて、「見かけや体は小さいけれど、気性や才能はなかなかで侮れない」という意味です。 山椒は、昔から「思ったよりもデキルヤツ」的な扱いをされていたのでしょうね。 でも、実は、山椒は実(粒)の部分よりも皮の部分の方に辛味の成分が含まれているので、実の部分は大したことはないのだとか。それこそ、本当に侮れないということなのかもしれませんね!?