辛さが体にいい!大根をすりおろして作る薬効抜群の薬味です!【大根おろし】

薬味のチカラ 「大根おろし」と言えば、大根をすりおろしたもので、薬味としては定番中の定番ですね。
薬味として「大根おろし」を使う時には、辛味を強くしたいのなら先端の方を、あまり辛くしたくないのなら根元の葉に近い方を使うのがおすすめです。時間が経つと辛味が抜けて、大根に含まれるビタミンCも減ってしまうので、大根おろしは食べる直前にすりおろすようにした方がいいようです。

大根おろしってどんなもの?

大根おろしは、いわば大根の代表的な加工品とも言ってもいいかもしれませんね。
大根は煮ても焼いても生でも食べられる万能の野菜ですが、生で食べるのなら大根おろしは最適の食べ方と言っていいでしょう。大根はそのまま食べてもいいのですが、すりおろすことによって独特の辛味が出て、それが体にとても良いと言われているのです。また、加熱すると壊れてしまう大根に含まれている消化酵素を、大根おろしで食べることによって大変効果的に体に取り入れることもできます。
大根おろしはおろし金などのすりおろし器ですりおろして作りますが、すりおろしてから時間が経つにつれて、大根おろしのメリットとも言える辛味成分や水溶性ビタミンCはどんどん壊れていってしまうので、大根おろしを食べる時は、食べる直前にすりおろすようにした方がいいでしょう。

大根の旬

大根おろしの材料となる大根は1年中スーパーの店頭に出回っている通年の野菜なのは、種をまく時期が春と秋の年2回となっているからです。
そのため、特に大根の旬というものを感じにくいように思いますが、大根がおいしいのは秋から冬にかけての時期でしょう。冬場の大根は、水分がたっぷりで甘みの強いものが多いので、大根おろしの辛いのが苦手な人でもおすすめです。逆に、辛〜い大根おろしの食べたい人は、夏場の大根を使うのが良いでしょう。

大根の産地

大根は、日本の野菜の生産量がNO.1の野菜です。そのため、日本全国で大根は栽培されています。
大根の数ある品種の中で最も多く生産されている大根は「青首大根」と呼ばれる大根です。
青首大根は、名古屋原産の大根で、病気に強いので育てやすく、また太さが均一で流通にも好都合ということで、全国的へ栽培が広がりました。大根おろしに向いている大根としては、全国的に栽培されている「美濃早生大根」、秋田県鹿角市で栽培されている「しぼり大根」、長野県で栽培されている「辛味大根」「ねずみ大根」「戸隠大根」、京都で栽培されている「からみ大根」などがあります。

大根おろしのチカラ(効能)

生の大根と大根おろしは同じものかと言うとそうではありません。
大根はすりおろすと、「イソチオシアナート」と呼ばれる成分が生成されます。これが大根おろしの辛味の主成分です。イソチオシアナートは、わさびなどにも含まれているものと同じタイプの辛味成分です。
この辛味成分には、免疫力を高めたり、がん細胞を抑制したり、殺菌や消化を高めたりするという効果があると言われています。この辛味成分は、皮の部分に近いつころに多く含まれているので、大根おろしにする時はなるべく薄く皮を剥いて使うのがおすすめです。また、加熱すると減少してしまうビタミンCや消化酵素なども、大根おろしにして生で食べることにより、効果的に体内に取り入れることができます。
このように優れた薬効がある大根おろしですが、辛味成分やビタミンCはすりおろしてから時間が経つにつれ、どんどん減少していきます。ビタミンCはすりおろしてから20分経つと20%減少し、2時間経つと約半分の量に減ってしまいます。辛味成分も揮発性なので、どんどん蒸発してしまうので、おろしてから30分も経つと、成分は半分程度に減少します。大根おろしはすりおろしてから7〜8分で辛さのピークを迎えるので、食べる直前に大根おろしにして、10分くらいで食べ切ってしまうのが理想的な食べ方と言えるでしょう。

大根おろしの使われる代表的な料理

なめこおろし、みぞれ鍋、みぞれ和え、揚げ出し豆腐、天ぷら、揚げ茄子、和風ハンバーグ、ステーキ、トンカツ、焼き魚(サンマ、イワシなど)、おろし蕎麦、おろしうどん、高遠蕎麦(福島県会津地方の郷土料理)

大根おろしの加工品

もみじおろし、冷凍食品

《もみじおろし》
もみじおろしというのは、大根の真ん中に切り込みを入れて唐辛子を差し込んでから一緒にすりおろしたものです。赤い色をしているので、もみじという名前がつけられたそうです。大根おろしの辛味に加えて、唐辛子の辛味も加わり、食通に受ける薬味と言えるでしょう。鍋物やふぐ料理の薬味としては定番の薬味です。

唐辛子と大根という組み合わせ以外に、大根とニンジンまたはニンジンのみをすりおろしたものも同様にその色合いから「もみじおろし」と呼ぶこともあるようです。大根とニンジンをすりおろしたものは、それぞれに含まれている成分が反応して大根のビタミンCが破壊されてしまうということから栄養面ではマイナスの面もあります。

大根おろしを薬味にするとピッタリ!の料理

*きのこ(特になめこ)・・・きのこに大根おろしを添えて、醤油をたらして。
*蕎麦・・・蕎麦つゆに入れて食べます。
*うどん・・・冷たくして、ねぎやしょうが、練り梅、天かすなどと一緒に添えて。
*釜揚げしらす・・・しらすに大根おろしをのせて、醤油をかけて食べます。
*焼き魚(特に青魚)・・・焼きたての焼き魚に添えて、醤油をかけて。
*魚の缶詰(鯖、ツナ)・・・大根おろしを添えて。魚の缶詰独特の脂が気になりません。
*揚げ物(茄子、鶏の唐揚げ、揚げ出し豆腐)・・・ねぎと一緒にのせてポン酢をかけて。
*天ぷら・・・天つゆにすりおろし生姜と大根おろしを入れて。
*トンカツ・ステーキ・・・大根おろしとポン酢の組み合わせで和風でさっぱり風味に。
*ハンバーグ・・・青じそと一緒にハンバーグにのせてポン酢をかけ、和風でどうぞ。 *納豆・・・粘りが少しなくなりますが、さっぱりと。
*鍋物・・・つけダレに入れて。
*卵焼き・・・大根おろしを添えて、醤油をかけて。

薬味レシピ 〜大根おろし〜

みぞれあえのレシピ

みぞれあえは、大根おろしを使ってできる簡単な料理ですが、大根おろしの効果を考えると、作り置きせずに食べる直前に作るのがおすすめです。
大根おろしと相性のいい食材であれば、何を使っても合うと思いますが、彩り良く見える食材を選ぶと見た目の食欲増進の効果も期待できます。

【みぞれあえの材料】
2人分
 【みぞれあえの作り方】
大根おろし・・・1/6本分
なめこ・・・1袋
キュウリ・・・1/2本

めんつゆ・・・大さじ2
酢(柚子絞り汁でもOK)・・・大さじ1
ゆず(針柚子)・・・少々
  1.キュウリは板ずりして、輪切りにして塩もみしてから、水分を絞っておく。

2.なめこは湯通しして、水気を切っておく。

3.大根は食べる15分くらい前にすりおろし、軽く絞ってめんつゆと酢で味をつける。

4.ボウルに3となめこ、キュウリを入れて和え、器に盛ったら上に針柚子を飾って出来上がり。

薬味豆知識 〜大根おろし〜

「大根おろしに医者いらず」のことわざの意味は?

大根おろしは、昔から様々な民間療法があることから「大根おろしに医者いらず」ということわざまで出てきたのです。大根をすりおろすことで生まれる辛味の成分・イソチオシアナートには、解毒作用や殺菌作用があり、大根おろしにすることで消化を助けると言われています。
そのため、民間療法として伝えられてきたもので大根おろしを使うようなものには次のようなものがあります。

  ・大根おろしの汁でうがいをすると、口内炎や虫歯などの口の中で起きる炎症の症状緩和に効果がある。
 ・大根おろしを飲むと糖尿病による体のむくみを取る効果がある。
 ・虫歯で腫れた歯茎や打ち身などの患部に大根おろしの絞り汁に浸した布や脱脂綿で湿布すると症状を緩和する効果がある。
 ・皮ごとおろした大根おろしを食べると、二日酔いに効果がある。

このように大根おろしには優れた効果があり、このことから「大根おろしに医者いらず」ということわざが生まれたのでしょう。ちなみに、同じ大根にちなんだ言葉に「大根役者」というのがありますが、大根は食べても食あたりすることがない食材だということから、「当たらない=ヒットしない」とかけて、演技の下手な役者のことをこう呼んだのではないかという説があります。

大根おろしと蕎麦のコラボ「高遠蕎麦」は会津の名物なのになぜ高遠?

高遠蕎麦とは、大根おろしの絞り汁に醤油または焼き味噌を入れた汁に茹でた蕎麦をつけて食べるという蕎麦料理で、福島県の会津地方の郷土料理です。
しかし、不思議なのが料理に「高遠(たかとお)」という名前がついているところ。
実は、「高遠」というのは地名で、今の長野県伊那市にある地名なのです。
福島県の会津で食べられているのに長野県の高遠の地名がついた蕎麦には日本の歴史にまつわる深〜い訳があるのです。

昔、信濃の国と呼ばれた長野県には高遠藩という藩があり、保科正俊という武将が藩主として高遠藩を治めていました。この保科正俊が二代将軍・徳川秀忠に産まれた隠し子を養育し、その子が成人して保科正之と名乗り、高遠藩の藩主となりました。実父の徳川秀忠は恐妻家であったため正室の於江与の方にばれることを恐れて養子に出したと言われています。その後、於江与の方が亡くなった後は差し障りもなくなったことから、父・秀忠や兄・家光との対面を果たし、そのことがきっかけとなり、保科正之は最終的に会津藩に国替えとなり、23万石の大名となったのです。その国替えの時に高遠の地で食べられていた「高遠蕎麦(行者蕎麦)」とその蕎麦に欠かせない「辛味大根」とその食べ方も一緒に伝わっていったと言われています。
そうなると気になるのが名前の由来となった高遠の地ではどうなのかと言うと、保科氏の国替えがあった後にその食べ方は途絶えてしまっていたということです。 しかし、最近になって、高遠蕎麦発祥の地でぜひ高遠蕎麦を復活させたいという地元の有志が中心になって、300年以上の時を経て高遠蕎麦を復活させて、地域おこしに一役買っているそうです。
ということで、会津の地に高遠蕎麦という料理が根付いた背景には、この保科正之という人物が大きく関わっているのですね。ちなみに、高遠蕎麦は、保科正之が会津に国替えになる前に治めていた山形の地でも同じように食べられているのだそうです。

福島でも特に面白い高遠蕎麦を出すのが会津西街道の宿場町であった大内宿です。
ここでは高遠蕎麦を頼むと、葱が丸ごと1本ついてきます。大内宿の高遠蕎麦の食べ方は、ねぎを箸代わりにして蕎麦を食べながら、薬味が欲しくなったら、ねぎをかじるというスタイルなのです。
そのため、「ねぎ蕎麦」という呼び名でも呼ばれているのだとか。